2017/04/26 一人交換日記 16通目/永田カビ
通称“レズビアン風俗レポ漫画”がpixivで話題となった永田カビによる、考察と葛藤にあふれたセキララすぎる日々……!
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14話の記事はこちら。(15話分は書き損ねた)
m-nszn.hateblo.jp
「親族に認めてもらいたさ」に悩み、親族の集まりに向かうも空振り。
玄関先で涙を落とす永田カビを、祖母がにこにこと温かく迎えてくれる。
自分を認めてくれる存在に安心し、感謝し、何が返せるのだろうとぼんやり思う。
今回はそんな話。
バイト中に
「親族の集まりの中で惨めじゃなく
親に恥をかかせていない自分」
を気づいたら想像していることがよくあった。
人に認めてもらうことを求めて生きていくのはつらい。
人は人で、誰もが、人の期待に応えるためや誰かを心底認めるためだけに生きているわけではない。
加藤諦三の「心の休ませ方」という本を思い出す。
少し引用する。
燃え尽き症候群の人にしろ、うつ病になるような人にしろ、
その人自身の中にエネルギーがあるわけではない。
ただ人に認めてもらえない不安や恐怖で動いていただけである。
だからいつかは倒れる。
自分自身の「やりたい、こうしたい」というエネルギー、願望ではなく、
人を基準とした「認められたい」「評価されたい」という気持ちで動くのは、いつか大きな弊害を生む。
頑張っても頑張ってもそれに対する点数は、自分ではない人次第。
空虚で、悲しい。
もちろん本人にのみその責任がある訳ではない。
「やればいいじゃん、自分を認めればいいじゃん」と簡単に言うのは、精神的に心底健全な人の台詞だ。
自分だって、自分で自分によくやったねと言ってあげたい。
でも出来ない。
そういう人たちはたくさんいる。
今回、祖母は永田カビを温かく受容し、認めてくれる。
よく来た。
来てくれてうれしい。
元気でいてくれてうれしい。
本の内容や題材なんかはすっとばして、
こうして本が2冊出せたことを喜んでほめてくれた。
おばあちゃん…!!!(泣いた)
こうして是も非もなしに自分を受容してくれる存在はありがたく、貴重で温かい。
それが断続的でなくても、誰かに正当に(自分が何をしていなくても)受容されることは、自分で自分を受容するための一番の近道な気もする。
あと、できれば
自分のことは自分で認められるようになってほしい
永田カビが自分で自分を認められる癖をつけた時、
彼女はもっともっと成長して、もっともっと楽に生きていけるんだろうなあと思う。
そうなってほしい。
最後に、永田カビは
「自分や家族を切り売りしたダメージが時間差で今どっと来ている」こと、
「家族を傷つけてしまっていること」、
を理由に連載を一旦休止することを発表。
コミックエッセイの怖い、というか、どうしても悲しいところである。
昔、あの「となりの801ちゃん」で有名な801ちゃんが、
福満しげゆき氏の妻ネタで泣いていたことがあった。
小規模な生活、怖くて読めない……うちの妻も怖い……毎回泣いてしまう……
— こじま801@いざバビロニア! (@801_CHAN) 2009年11月23日
うちの妻でのネタだったと思うけど、『読者も編集も納得させなきゃいけないのに、身内まで納得させなきゃいけないのか!敵か!四面楚歌か!』が本当に辛くて、形は違うけど、身に覚えあり過ぎて超号泣した。ちなみにN江さんが打ち合わせにきたときにお土産にくれた本でした……超笑顔で……!
— こじま801@いざバビロニア! (@801_CHAN) 2010年6月29日
私は、本当に申し訳ないことなのかもしれないが、
801ちゃんやうち妻や小規模を読んで笑ってばかりいたので、
このツイートが相当衝撃だったのである。
そうか、ネタにされている当事者はこんなつらさを抱えているのか、と。
だから、色んな人の”生”の人生に触れられるコミックエッセイを私は大好きだけれど、
でもそれで誰かが悲しんでいること、苦しんでいることは
いつも忘れないようにしなければと思う。
永田カビさんも、今は自分を第一にゆっくり休んでくれたら、と思う。
こんなに葛藤の多い方がこれだけのことを振り絞って描いて、
消耗しないはずないと思うから。
また描きたくなった時、どんな作品でも発表してくれたら、喜んで読みます。