2017/04/18 ママだって、人間/田房永子
超話題作『母がしんどい』で実母との戦いを描いた著者が、
今度は一児の母になって、育児マンガの常識とタブーを破る!
「妊娠したら性欲は二の次」「陣痛は痛い」「育児は大変」「母乳が一番」…
よく聞くフレーズだけど、実際に妊婦&ママになってみると違和感だらけ!
これって一体どういうこと?
32歳A型の新米ママ・エイコは今日もいちいち立ち止まる!
1月に購入して読んだのだが、当時忙しすぎて内容が頭に入ってこず…。
特に感想が載せられなかったので再読。
当時がこれ。
田房永子は「母がしんどい」「うちの母ってヘンですか?」の2冊しか読んだことがないが、そのどちらとも作風がだいぶ異なっている。
特に感想が載せられなかったので再読。
当時がこれ。
田房永子は「母がしんどい」「うちの母ってヘンですか?」の2冊しか読んだことがないが、そのどちらとも作風がだいぶ異なっている。
あちらでは母に振り回されまくる、目が点の( ˙-˙ )こんな顔の永子だったのに対し、
本作では個性の出た外見、ぎらついた目、そして表情も前作より豊かだ。
こっちの永子のが、きちんとひとりの人間が”生きている”感じがする。
田房永子が自身の妊娠出産の際に感じた疑問、悩みを赤裸々に綴ったこの1冊。
初めて読んだ際はなんだか下ネタが多いな?と感じたが、
よく読むとただの下ネタではなかった。
下ネタ、というよりは、みんなが触れない性のタブー、
または妊娠出産に関して何故かスルーされまくる部分に赤裸々に、
それはもうベタベタに触れまくって切り込んでさばいているのだ。
下ネタ、というよりは、みんなが触れない性のタブー、
または妊娠出産に関して何故かスルーされまくる部分に赤裸々に、
それはもうベタベタに触れまくって切り込んでさばいているのだ。
妊娠出産子育てに関するエッセイが死ぬほど描かれている現在の中で、
こういうエッセイは珍しい。
以下、目次から抜粋しただけだが、
今作がいかに妊婦、ママの、もっと言えば女性のタブーへ及んでいるかがよく分かる。
こういうエッセイは珍しい。
以下、目次から抜粋しただけだが、
今作がいかに妊婦、ママの、もっと言えば女性のタブーへ及んでいるかがよく分かる。
2 妊娠中のムラムラ
3 妊婦のセックス
5 胎児のアソコの呼び方
7 乳首革命
9 「出産は、痛いよ」の呪縛
15 まんこの洗い方問題
16 とにかく夫がイヤになる
女性がこのようなことを妊娠中や出産後にふと感じた時、
人に言いにくいだけに酷く孤独になり、人によっては罪悪感さえ抱きそうな気がする。
そんな時にこの漫画があったら、きっと救われるしホッとすることが出来る。
そしてこの本が世に出たことで、この本のレビューでも同じ気持ちの仲間たちにきっと会える。素晴らしい。
また、驚いた部分は他にもあった。
子どもと共にママさんヨガに参加した永子。
そこで周囲のおかしな空気に巻き込まれないため、心に「結界」を張る。
謝罪にいちいち応えない!
濡れ衣を着せられている赤ちゃんに同情しない!
ノリが悪いと思われることを恐れない!
これを見て、私は「永田カビみたい!」と驚いた。
結界。
これは、先日手に取った某自己啓発?メンタルヘルス本?の中にまったく同じようなことが書いてあった。
その本の中では、人の目が気になる時に心の中で決まった言葉を唱え、
周りと自分の間に壁を立てましょう、と書かれていた。
永子は、この”壁”を自ら導き出し、使っている。
永田カビにしろ田房永子にしろ、つらい中生き抜いてきた人たちの、
自分で答えや方法を探し出して実践してしまう力は本当にすごい。いつも感心する。
結界。
これは、先日手に取った某自己啓発?メンタルヘルス本?の中にまったく同じようなことが書いてあった。
その本の中では、人の目が気になる時に心の中で決まった言葉を唱え、
周りと自分の間に壁を立てましょう、と書かれていた。
永子は、この”壁”を自ら導き出し、使っている。
永田カビにしろ田房永子にしろ、つらい中生き抜いてきた人たちの、
自分で答えや方法を探し出して実践してしまう力は本当にすごい。いつも感心する。
ママだからっていつも赤ちゃんを
抱っこしたがってるなんて思わないで
母、というものが神格化される。
望んで子を産んだとはいえ、母である前にひとりの女性で人間であるということが、
母、の一文字の前にかき消されてしまう。
どこかの精神医学のサイトで読んだが、
人間にとって心理的に一番距離が近い存在というのは「パートナー」なのだそうだ。
そしてその次が「母」、そして「父」。
私は「母より、父の方が距離が遠い」と明言されていたことに驚いたのだが、
つまり、「パートナー」のいない人間にとっては「母」が心理的に一番距離の近い存在ということになる。(もちろん例外は多分にある)
それだけ「母」というのは人間にとって大きく、時には神を凌駕する存在なのだ。
そりゃそうだよな。
母がいなければ自分は決して産み落とされないし、
生まれる前なんて人生で一番真っ白で訳の分からん時期にずっとくっついているのが母なのだから。
そのおかげで何故か聖母のように扱われる「母」。そして母になった「女性」たち。
そこに一石を投じ、
それぞれ経験とか過去とかあったのに
急にマリオネットになっちゃうだけ
ママだって
人間だよ
そう訴えかける実感は、
多くの「母」とされる「人間」を救うことが出来ると思うのだ。
笑うだけ笑って、目からウロコが百枚以上落ちて、しかも考えさせられた。
頼む!一生のお願いだから読んでくれ! 【樋口毅宏】
この樋口毅宏氏の言葉を借り、大きく頷いて締めようと思う。
とりあえず今夜は、この本をそっと主人の枕元に置いて眠る。